明治期の木造校舎のかたちを今に伝える建築物

旧上岡小学校

明治期の木造校舎のかたちを今に伝える建築物

旧上岡小学校の三棟からなる校舎は、茨城県内の小学校校舎としては旧水海道小学校玄関に次いで二番目に古く、現地保存されているものでは県内最古の校舎です。明治28年の文部省「学校建築図説明及設計大要」で示された学校建築の設計基準をよく順守しており、明治期の木造校舎のかたちを伝える貴重な建築物でもあります。
建築当時からみれば、校舎には人の手が加えられていますが、平屋造りの佇まいや、木のサッシにはめられた古い窓ガラスのおもむき、落書きや削り跡が残る木の机や椅子など、懐かしい小学校の風景がそのまま残されています。教室の窓の外には、いつの時代にも大子の山々が連なり、四季折々の姿を見せたことでしょう。その山の手前には、一日中お日様が照る、上岡の原風景、「日渡の田んぼ」が広がっています。

学校を残す

「たくさんの人が見にきてくれる、賑やかな場所でしょう?」

旧上岡小学校は、卒業生でもある地元住民を中心に組織された「上岡小跡地保存の会」が維持管理を行っています。古い木造校舎がもつ温かい雰囲気、懐かしい木の机のにおい。誰もが小学生の頃の思い出と重ね、子供に帰ったようなひと時を過ごせる場所。ここは、訪れる人みんなの小学校です。

旧上岡小学校は、明治12年に創立した、長い歴史をもつ学校です。明治44年に現在地に移転し、第一棟が建てられました。昭和にはいると、児童数の増加にともない、第二棟、第三棟が増築され、現在の姿になりました。

平成13年に閉校となり、小学校としての歴史に幕を下ろしましたが、自分やその子供だけでなく、親や祖父母も通った母校を残したいという地元住民の気持ちが形となり、今では貴重な明治期の木造校舎を保存する取り組みにつながりました。

古い学校が次々に取り壊されていくなかで、旧上岡小学校は、これからも変わらず、豊かな里山の景色の一部であり続けます。

旧上岡小学校の沿革

明治12年 学校創立児童数:50名
明治44年 現在地に第一棟建築児童数:126名
明治12年 第二棟建築児童数:213名
明治38年 第三棟建築児童数:217名
明治39年 第二棟の教室を講堂及び多目的室に改修児童数:200名
明治53年 上岡小学校百周年記念式典実施児童数:108名
明治13年 閉校児童数: 36名
明治26年 国登録有形文化財(建物)に登録

旧上岡小学校について

住所:茨城県久慈郡大子町大字上岡957-3
一般公開日:土曜・日曜・祝日 9:00~16:00
見学料:無料(校舎内見学可)

<見学・イベント等利用のお問い合わせ>

TEL:0295-72-1138(大子町役場 観光商工課)

<主な撮影・利用等>

旧上岡小学校の古き良き時代を感じさせる木造校舎は、テレビドラマや映画、CMなどのロケ地として、また、アニメの舞台設定として、多くの作品に活用されています。(年間8~10回程度)

2016年 KENPOKU ART 2016 茨城県北芸術祭
2015年 映画「ガールズ&パンツァー 劇場版」
2014年 NHK 「花子とアン」
2011年 NHK 「おひさま」
2009年 映画「アキレスと亀」
2008年 テレビ朝日「刑事一代 平塚八兵衛の昭和事件史」
2007年 映画「俺は、君のためにこそ死ににいく」
2007年 日本テレビ「私は貝になりたい」
2007年 フジテレビ「はだしのゲン」
2006年 NHK「純情きらり」
2003年 TBS「さとうきび畑の唄」
2003年 NHK「夢みる葡萄」他、多数
<アクセス>

自動車:常磐自動車道 那珂I.Cから約1時間10分。
電車:水戸駅からJR水郡線で常陸大子駅下車、約1時間20分。
路線バス:常陸大子駅から旧上岡小学校前停留所下車、約2分。

紹介動画